「修学旅行に行きたくない。」
ADHD・自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けている息子は、修学旅行が近づくたび毎日のようにそう話していました。
「行かせるべき?」「休ませるべき?」
親として何度も悩みました。
「修学旅行」等のイベントでは、発達障害の有無は関係なく、このような悩みを持つ親子もいらっしゃることでしょう。
結果的に息子は修学旅行へ参加し、大きなトラブルなく帰ってくることができました。
もちろん、それは学校の先生方と何度も話し合い、息子の特性を理解していただき色々な配慮をしていただいたからです。
今回の記事では、実際に我が家が行った対策や学校でお願いした配慮、そして修学旅行当日の様子をお伝えします。
修学旅行に限らず、見学旅行や宿泊研修などで悩んでる方も参考になると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
修学旅行に行きたくないと言い続けた息子
本当は・・・
将来、「修学旅行に行かなかった」と後悔してほしくない。
集団行動が苦手な息子は、数年前から「行きたくない」と言っていましたが、修学旅行が近づくにつれて精神的にも追い詰められているようでした。
私たちも、その度にどうするべきか悩んでいましたが、「そんなに行きたくないなら無理にはいかなくてもいいけど・・・」と言いながらも、本当は行ってほしい、後悔してほしくない、きっと楽しいと思えるはず、など正直「行ってほしい」気持ちでいっぱいでした。
発達障害の息子の特性
保育園のときから元気でマイペース、集団行動を嫌がったり登園拒否、急な予定の変更もパニックになったり等、発達検査や放課後デイサービスを勧められました。
小学校へ入学してからは、自由時間が少なく、椅子に座って嫌いな勉強をしないといけない事もあり、学校、友達、勉強、宿題、全てを敵とみなしイライラ状態が続いていました。
個性やこだわりが強くスポーツを楽しむ友達の中、虫探しや制作など昼休みも一人で過ごすことも多い、そんな息子です。
高学年になるにつれて、多動傾向は目立たなくなりましたが、”こだわり” ”集団行動の苦手さ” は健在です。
修学旅行1か月前のトラブル
そんな時、修学旅行の約1か月前、学校で大きなトラブルがありました。
たまたまイライラしていた時なのか、”お友達の何気ない言葉”を自分への非難だと受け取り、カーっとなって相手を傷つけてしまいました。
小学校へ入学してから、定期的にトラブルはあっていましたが、今回の件は今まで以上に許されない行為でしたので、相手のお子さんや保護者の方へ謝罪へ行きました。
学校中に噂が広がり、「この状態で修学旅行へ行かせても大丈夫なのだろうか」「迷惑だと思われないか」「無理やり行かせて何かあったらどうしよう」という不安は日に日に大きくなっていきました。
行かせるべきか毎日悩んだ
このような経緯から、私も「行ってほしい」と無責任に言えなくなり、行かせるべきか毎日悩みました。
そして少しずつ「行かない」方向で話をするようになりました。
「行くか行かないかは最後まであなたが決めていいよ。」
「当日ギリギリまで決めなくてもいい。当日行きたい!と思ったら行けばいい。」
「修学旅行は全てではない。」
「行かなかったら家族で楽しい思い出を作ろう。」
そう伝えると、息子は安心したような表情になりました。
私も「これで気持ちが少し軽くなったかな」と思ったのですが、その数分後でした。
息子は突然泣き出し、
「本当は行きたい。」
「でも、また誰かを傷つけてしまうのが怖い。」
「自分でも止められなくなるのが不安。」
と話してくれました。
私はその言葉を聞いて、胸が締めつけられる思いでした。
きっと、「行きたくない」と言ったときに、
行く、行かない、どちらを選択しても間違いではないよ。
安心していいよ。
そんな母親の”言葉”を求めていたんですよね。
発達障害の息子が修学旅行に行きたくないと言った理由
息子の場合は、「人を傷つけてしまうのが怖い」という不安で押しつぶされそうになっていたんですよね。
子どもの『行きたくない』には理由が必ずあります。
行きたくないという言葉の裏側にある『本当の気持ち』に向き合って聞いて上げることが大事だと改めて感じた出来事でした。
修学旅行前に行った対策・学校への配慮
息子の本心を聞いて「行かなくてもいいけど、行った時に安心できるように、学校へ相談してあらゆる対策をしよう!と思いました。
| 心配だったこと | 学校へお願いした配慮 |
|---|---|
| 空腹でイライラ | 軽食持参 |
| 資料館 | 無理に参加せず調子をみて後ろから先生と回る |
| 記念撮影 | 無理に参加しない |
| 徒歩40分 | 自然散策へ変更 |
| ホテル自由時間 | 校長室・保健室利用OK(安心できるものを持参) |
| 薬 | 主治医へ相談 |
空腹対策
まず、現地へついて原爆体験のお話があります。
昼食前の予定だったため、「空腹が原因でイライラしてしまうかも」と、先生が、カロリーメイトなどの軽食を持参できないか?と提案がありました。
息子は空腹になるとイライラしやすく、普段から機嫌が悪くなることがあるんです。
息子に話したら、『特別扱いは嫌!』とのことでしたので、状況を見て判断してもらうことに。
カロリーメイトは先生へ預けることにしました。
⇒当日、息子の気持ちを配慮して、みんなにカロリーメイトを用意してくださいました。
資料館での配慮
原爆の恐ろしさ目の当たりにして、気持ちが不安定になってしまうだろう、と私も先生も同じ思いでした。
●ここでは、無理に参加しなくてもいい。
●ロビーでゆっくり過ごしてもok
●調子をみて、行けたら後ろから先生と回る。
このように、息子の気持ちを第一に配慮してくださいました。
記念撮影は参加しない
息子は、写真を撮られること自体は嫌ではありませんが、大人数が並ぶまで待つ時間が苦手です。
「まだ?」「早くして!」という気持ちが抑えられず、周りのお友達へきつい言葉を言ってしまうことがあります。
そのため、「記念撮影は参加しない」とお願いしました。

本当は、見てみたい気持ちはあるんですけどね(笑)
徒歩移動は自然散策へ
移動時間が長く、目的地までの道のりのイライラも不安でした。
そこで、目的地までワープ、自然が沢山のところなので『大好きな自然散策や虫取り』はどうですか?との提案が。
本当に申し訳ないくらい息子が参加できるようあらゆる提案をして下さり感謝しかありませんでした。
主治医へ相談
普段は、安定剤を服用している息子ですが、環境の変化に敏感なため修学旅行へ行く際の相談も主治医としました。
そこで、『頓服』の服用を提案され、当日はお守りとして持っていくことにしました。
※薬に関しては、それぞれご意見があると思いますが、あくまでもこれは息子の場合です。
ホテルで過ごす場所の確保
修学旅行の中でも色々不安要素はありますが、ホテルの時間は、ほぼ子供たちの自由時間となり、何かあったときに一番対応が難しい場所となります。
そこで、頓服を使用して安定した気持ちで友達と過ごせるように配慮していただきました。
●グループ編成を考慮
●保健室や引率の男性である校長先生の部屋を落ち着ける場所として確保
●安心できる遊びグッズの持参を許可
ハウステンボスは無理に班行動をしない
ハウステンボス自体は大好きな息子ですが、ここでも子供だけで行動することが不安です。
先生が後ろから様子を伺いながら難しそうだったら、集団活動せず先生と行動することで対応していただくことになりました。

ずっと支援の先生はプライベートがなくずっと息子につきっきりですね・・・。
実際に修学旅行へ参加して
以上のような対策や学校の配慮によって、無事に修学旅行へ参加することができました。
『修学旅行へ行くことができた』と息子も嬉しそうな笑顔で帰宅してきました。
校長先生との忘れられない思い出
夜景を見る時間になっても、息子はどうしても虫取りがしたくて仕方がなかったようです。
「夜だから危ないよ。」
「今日は虫取りはできないよ。」
先生方も何度も説明してくださいました。
それでも納得できず、自分から校長先生へ相談したそうです。
すると校長先生が一緒に外へ連れて行ってくださり、短時間だけ虫取りをさせてくださいました。
捕まえたのはカナブン1匹(笑)。
でも、その15分ほどで気持ちが切り替わり、笑顔で戻ってきたそうです。
「ダメ」と押さえつけるだけではなく、気持ちを受け止めてくださった先生方には、本当に感謝しかありません。
ハウステンボスでは班行動はせず先生と行動
ハウステンボスへ到着してすぐ、息子は「回りたくない。ここにずっといる」と座り込んでしまいました。
無理に班行動へ戻すことはせず、先生がそばでゆっくり付き添ってくださったそうです。
しばらくすると気持ちが落ち着き、先生と一緒にシューティングアトラクションを楽しめたそうです。
そして、お昼ご飯は大好きな海鮮丼を選びました。
子ども向けの修学旅行セットではなく、大人用の豪華な海鮮丼を注文したそうです。
一緒にいた友達から「いいな!」と羨ましがられるほど豪華だったようで、帰宅後も「すごくおいしかった!」と満足そうに話してくれました。
部屋では恋愛の話も!
馬鹿なことばかり発して真剣な話をあまりしてこなかった息子ですが、「好きな人を言い合おう」と友達が提案、結構盛り上がったそうなんです。
一人の友だちは、早々といびきをかいて寝ていたそうです!
うっせー、だまれ、など、冗談交じりの身のない会話しかしていないと思っていましたが、なんだか成長を感じたエピソードも聞けました!
最後まで体操服だった息子
学校から定期的に数枚、修学旅行の様子や写真を報告してくれていたアプリを楽しみに見ていました。
朝、学校から届いた写真を見て思わず笑ってしまいました。
息子だけ体操服だったのです。
「まあ、そのうち着替えるだろう。」
そう思っていたのですが……
ハウステンボスでも体操服(笑)。
引率の先生、バスガイドさん、運転手さんまで何度も声を掛けてくださったそうですが、本人は「着替えない」の一点張り。
最後まで自分のスタイルを貫きました。
「本当にうちの子らしいな。」
そう思うと同時に、「最後まで参加できた」という事実のほうが、私には何倍もうれしかったです。
一番うれしかった一枚の写真
今でも涙が出そうなのは、
ホテルの部屋で、お友達と笑いながら枕を抱えて遊んでいる写真です。
アプリで流れてくる写真は、いつも一人で写っていました。
記念写真も撮っていなかったので期待はしていなかったのですが、ホテルでの楽しい時間の写真が数枚あったんです。
無邪気な息子の笑顔をみて、本当に行かせてよかった!と改めて思いました。
修学旅行を終えて改めて感じたこと
修学旅行に行くこと、行かないこと、どちらも間違いではありません。
一番大事なのは、子どもとしっかり向き合うことが大切です。
●行くことだけが正解ではない
●子どもの気持ちを聞いて本当によかった
●学校との連携が安心につながった
今回の修学旅行を終えて改めてこのように感じました。
まとめ
修学旅行へ行くことだけが正解ではありません。
行かないという選択も、もちろんあります。
大切なのは、お子さんの気持ちにしっかり向き合い、親子で納得して決めることだと思います。
我が家も最後まで悩みました。
それでも、「本当は行きたい」という息子の気持ちを受け止め、先生方と一緒に一つひとつ不安を減らしていったことで、修学旅行へ参加することができました。
もし今、お子さんの修学旅行で悩んでいるご家庭があれば、この体験が少しでも参考になればうれしいです。

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